「TOA Precut CAD System Ultimate」の木材プレカット用データに、耐力壁や接合金物を入力することで、(公財)日本住宅・木材技術センターの「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」に準拠した構造計算書を作成することが可能です。
プレカットデータを用いた正確な構造計算
木造在来プレカット用に入力された伏図データを使用することで、より実状に近い計算を行うことができ、計算に必要なデータ入力も大幅に減らすことが可能です。使用する伏図データはプレカットに直接使用されるものなので、柱や横架材などの相関関係が正確に再現されており、荷重の流れや柱の引抜力などの計算も正確に行えます。
概要
本ソフトウェアでは、公益財団法人 日本住宅・木材技術センター刊行「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」に準拠した
構造計算(許容応力度計算ルート1・2による)を行うことができます。
※以降では、同書を2017年版グレー本、改訂前の2008年版を2008年版グレー本として表記しています。
本ソフトウェアでは、建築基準法の検討のほか、品確法の耐震等級・耐風等級・耐積雪等級の検討が可能です。
長期優良住宅の認定基準に含まれている耐震等級2・3の検討を行うことができます。
また、各社金物工法について、別途、本ソフトウェアの金物工法対応オプションを導入することにより、
当該工法の柱頭柱脚接合部(ほぞパイプなど)・横架材端部接合部(梁受金物など)の接合部耐力の検定を行うことが可能です。
2017年版グレー本で求められている、鋼管パイプ状の接合金物のせん断と引張りの複合検定にも対応しています。
同検定における、摩擦を考慮したせん断低減にも対応しています。
機能・特徴
木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)への対応
本ソフトウェアでは、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」が2008年版から2017年版に改訂された際に
追加・変更された、以下の計算項目に対応しています。
・柱頭柱脚接合部の検討において、引抜力の算定方法に「N値計算法」はありません。
…2008版ソフトウェアにあった「N値計算法」は、2017 年版グレー本における記述の削除に伴い、廃止されています。
※壁量計算ルートにおけるN値計算は、別商品の「壁量・偏心率・N値計算オプション」で検定可能となっています。
・柱頭柱脚接合部の検討において、出隅柱の曲げ戻し効果係数Bn は、柱頭を0.5・柱脚を0.8 としています。
・柱の短期軸力に対するめり込みの検定時に、添え間柱・めり込み防止プレートの考慮が可能となっています。
…添え間柱の考慮は、面材張り真壁の受材と同等の仕様による柱への留め付けが必要であるため、
常時考慮ではなく、明示的に考慮可能であることをCAD 上で指定した間柱のみで考慮します。
めり込み防止プレートは、新金物積算システム上でCAD 入力されたもののみに対応します。
2017 年版グレー本で示されたプレートの曲げ検定を行うため、曲げ強度の入力が必要です。
・柱の短期軸力に対するめり込みの検定は、常に実施されます。
…2008 版ソフトウェアでは2008 年版グレー本に記載がないために、選択にしていました。
・根太・垂木の(並列材の)曲げ許容応力度に乗ずる係数は、樹種に応じた値を設定できるようになりました。
樹種は、複数の樹種をグループにまとめ、グループ単位での係数設定となります。
…2017 年版グレー本において、目視等級・無等級材・機械等級の場合の面材貼り有無時の割増係数が記載され、
Q&A において集成材への割増は無しとすることが示されています。
・垂木・母屋のせん断検定は、常に実施されるようになります。
…2008 年版グレー本には記載がないために選択にしていました。
・ルート2検討時の、筋かいの負担水平力による応力割増しに対応しています。
…各階・XY方向別で、筋かいの負担水平力の比βを求め、外力割増を行います。
主な計算内容
本ソフトウェアにおける構造計算では、主に以下の検討を行うことができます。
・令第46 条の耐力壁の検討
…小屋裏間仕切りなどによる「物置等」を考慮した床面積の自動計算などを行うことができます。
・鉛直構面(耐力壁)・水平構面の検討(偏心率/4分割法の検討を含む)
…偏心によるねじれ補正を考慮した鉛直構面・水平構面の検討を行います。
ルート1の場合は、偏心を「偏心率」「4分割法」から選択して検討を行います。
また、用途係数・重要度係数の入力に対応しており、物件ごとに指定した係数による地震力の割り増しが可能です。
・柱・横架材の断面検討
…ほぞや欠き込みによる断面欠損を考慮した横架材の断面検討が可能です。
・横架材端部接合部の検討
…CAD入力された羽子板ボルトや短冊金物の個数に応じた接合部仕様の自動選択が可能です。
・基礎の検討
…基礎底盤の長期接地圧や基礎ばりの曲げ・せん断検定のほか、転倒モーメントによる短期接地圧の検討にも対応しています。
・柱頭・柱脚接合部の検討
…柱頭柱脚接合部の耐力壁・準耐力壁による引抜に対する検討を行います。
引抜力の計算方法・検討方法は「標準計算法」「詳細計算法(ラーメン置換モデル)」から選択することができます。
・構造計算チェックリスト・構造計算概要書の作成
…平成19年6月の建築基準法改正において、「構造計算チェックリスト」を確認申請時に添付することが
義務づけられています。 本ソフトウェアで当該帳票の作成が可能です。
また、同改正において、確認申請時に添付することが義務づけられた「構造計算概要書」については、
平成22 年国土交通省令第7 号(平成22 年6 月1 日施行)により、確認申請時に添付する資料から
除外されましたが、当該帳票の作成も可能です。
壁量・偏心率・N値計算オプション
プレカットデータを用いた正確な壁量計算
木造在来プレカット用に入力された伏図データを使用することで、より実情に近い計算を行うことができ、計算に必要なデータ入力の手間も大幅に削減。使用する伏図データはプレカットに直接使用されるものなので、柱の位置や筋かいの上下などが正確に再現されており、柱のN値計算なども正確に行えます。

入力の流れ
1. 壁量計算関連マスタ登録2. 耐力壁・水平構面3. 接合金物入力4. 壁量計算実行5. 壁量・偏心率計算書印刷6. N値計算書印刷オプションによる機能拡張
金物工法オプション
各社金物工法に対しても接合部耐力の検討を行うことが可能になります。許容応力度計算時に、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」で求められている「ほぞパイプ」などのせん断を考慮したり、引張り検討をN値計算で行うことが可能です。
羽柄材基本ソフト
自動入力対応部材
◼ 根太 / ◼ 間柱 / ◼ 垂木 / ◼ 窓台・窓まぐさ / ◼ 破風・鼻隠し / ◼ ケラバ垂木 / ◼ 筋交い / ◼ 隅木 / ◼ 谷木 / ◼ 広小舞・登り淀 / ◼ 軒下下地 / ◼ 垂木掛け / 等の部材自動入力が可能。
機能と特徴
入力の流れ
1. 初期仕様入力 2. 意匠入力3. 構造入力4. 羽柄入力 5. 編集6. 羽柄材長自動計算7. 積算 8. 加工データオプションによる機能拡張
各機械メーカーの羽柄加工機インターフェイスや個別カスタマイズも承ります。
合板材基本ソフト(野地・床など)
機能と特徴
建材の節約に貢献
独自の板取りロジックを搭載し、建材の節約・有効活用に貢献します。
自動割り付け機能
野地 / 床合板(受け材・補足材を含む)の自動割付機能を搭載。
実付き合板に対応
実付き合板にも対応。実♂部分を自動でカットします(加工機対応可の場合)。
多彩な切欠き
◼ 柱 / ◼ 間柱 / ◼ 筋交い / ◼ ホールダウン(偏芯座金/芯座金)/ ◼ 梁上端の羽子板ボルト垂木の当たり欠き(下屋) / ◼ ドーマ開口切欠 / ◼ 柱脚金物の切除
入力の流れ
1. 初期仕様入力2. 入力割付3. 領域の設定4. 自動割付 5. 編集6. パネル生成7. 積算8. 加工データオプションによる機能拡張
- 羽柄材との干渉部分の切欠き(垂木当たり欠き・隅谷木当たり欠き)が可能になります。
- ガゼットの拾いが可能になります。
- 各メーカーの加工機へのインターフェイス
- 複数棟板取オプションにより素材の有効利用が可能となります。
- 各ハウスメーカーの壁パネルカスタマイズも承ります。
特殊加工基本ソフト(登り梁、斜め梁、隅谷木梁など)
対応可能部材(基本パッケージ)
登り・斜め・ケラバ
◼ 登り蟻 / ◼ 登り桁差 / ◼ 登り胴差 / ◼ 登りホゾ / ◼ 合掌 / ◼ 登り掛り蟻 ◼ 登り掛り大入 / ◼ 登り梁渡り顎 / ◼ 斜め蟻 / ◼ ケラバ / ◼ 兜先端欠き
隅谷木梁
◼ 隅谷木端部 / ◼ 隅谷木梁ケラバ / ◼ 隅谷木梁大入
機能と特徴
入力の流れ
1. 初期仕様入力2. 構造入力+特殊端部入力3. 材長自動計算 4. 特殊加工確認4. 積算5. 加工データ 面倒な計算作業を容易に行うことができます。オプションによる機能拡張
- 各機械メーカーの羽柄加工機インターフェイスや個別カスタマイズも承ります。
- 加工形状はお客様のご要望にあわせてカスタマイズを承ります。
CEDXM インターフェイスオプション(入力/出力)
連携可能データ
◼ 物件情報 / ◼ 入力点情報 / ◼ 屋根・壁・外壁・開口情報 / ◼ 構造材(横架材・柱)情報[端部の加工形状、偏心情報]/ ◼ 補助部材情報[間柱、筋違、窓台・まぐさ、根太、垂木などの羽柄材]/ ◼ 接合金物情報[ホールダウン金物、柱頭・柱脚金物、各種接合金物]/ ◼ 寸法・注記情報 等の項目が連携可能。 また、吐出し側CADの情報不足、誤差吸収をTOACADにて補正する機能が標準搭載されています。
操作の流れ
1. インターフェイス項目設定
2.番付原点補正機能
3. 樹種・等級 確認変更
4. CEDXM 取り込み
導入のメリット
申請図面とプレカット図面の不整合を防止
意匠CAD → TOACAD → 意匠CADとCEDXM連携を行うことで設計図書とプレカット図面の不一致が回避できます。
二重入力の排除
二重入力の排除が可能のため、プレカット図面作成の作業時間が短縮できます。
人為的な入力ミスの防止
紙の図面を基にプレカット図面を作成する場合、どうしても各種設定を入力しなければなりません。また、図面が読み取りにくい場合もあります。CEDXMオプションにより、モジュール、階高、間崩れ値も連携されるため、人為的な入力ミスが防止できます。
CDEXM 連携の流れ
他社プレカットCAD
(プレカット工場)
- 例1)意匠CAD側で部材入力・性能表示を行い、CEDXM連携しプレカット依頼。
- 例2)意匠CADで初期データのみ入力しCEDXM連携を行い、TOACADで部材入力・性能表示をし、部材情報を意匠CADへCEDXM連携。
金物接合基本ソフト
入力対応金物
◼ クレテック金物(クレテック・テックワン・プレセッター) / ◼ SSLOCK 金物/ ◼ HSS・HSZ 金物 / ◼ モッケン金物 / ◼ テナンビーム金物 / ◼ SSマルチ金物 / ◼ テクノストラクチャー / 他、各ハウスメーカー金物 ※その他の金物についても、ご相談の上で対応させて頂きます。
機能・特徴
自動生成機能
梁成に合った金物を自動で生成します。また、構造計算オプションとの連動によりホゾパイプの種類を自動入力することも可能です。
編集機能
接合部分の金物取付位置がドラッグandドロップで上下1mm単位の移動が可能。
その他の機能
- チェック機能により、接合部分の様々な干渉がチェック出来ます。
- 自動穴(ボルト)合わせ機能
- 登り梁金物対応
- 接合金物やドリフトピン等の正確な積算
入力の流れ
1. 初期仕様入力2. 意匠入力3. 構造入力4. 材長自動計算5. 編集6. 積算7. 加工データオプションによる機能拡張
- 各機械メーカーの羽柄加工機インターフェイスや個別カスタマイズも承ります。
- 加工形状はお客様のご要望にあわせてカスタマイズを承ります。